除夜の鐘
108回の内訳

『その年の108つの煩悩を消し去り新年を迎える』という除夜の鐘の意味は皆さんご存知ですよね。 でもこの「108つの煩悩」って何なんでしょう? これには諸説有ります。
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<説1>
人間の体全体の働きを表す「六根 ロクコン」(眼 ゲン,耳 ニ,鼻 ビ,舌 ゼツ,身 シン,意 イ)それぞれに「三種 サンシュ」(好 コウ=良い,悪 アク=悪い,平 ヘイ=どちらでもない)が有って、6x3=18。
人身に入って心をけがす「六塵 ロクジン」(色 シキ,声 ショウ,香 コウ,味 ミ,触 ソク,法 ホウ)それぞれに「三受 サンジュ」(苦 ク=苦しい,楽 ラク=楽しい,捨 シャ=どちらでもない)が有って、6x3=18。 先の18と合わせて計36。 これに「三世 サンゼ」(過去,現在,未来)を掛けて、36x3=108。
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<説2>
「六根」それぞれに「三種」までは同じ。 これらが浄(ジョウ=きれい)と染(セン=きたない)の2種に分かれて、18×2=36の煩悩となり、「三世」を掛けて108つ。
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<説3>
人間本来のあらゆる苦しみ「四苦八苦」を合わせた数(4x9+8x9=108)。 四苦とは人間として逃れられない必然的な苦しみ「生老病死 ショウロウビョウシ」の事。 八苦は、四苦に「愛別離苦 アイベツリク」(愛する人と別れる苦しみ)、「怨憎会苦 オンゾウエク」(嫌いな人と会わなければいけない苦しみ)、「求不得苦 グフトクク」(求める物が得られない苦しみ)、「五陰盛苦 ゴオン(ゴイン)ジョウク」の4つの苦しみを足した物。 五陰盛苦は、五蘊(ゴウン)盛苦とも言います。 五陰とは、人間を構成する5つの要素「色受想行識」。 色は人間の肉体、受は感受、想は思い巡らす事、行は行動、識は知識・経験です。 これら五陰から生じる欲求、食欲、性欲、睡眠欲、地位欲、名誉欲などを抑える事が出来ない苦しみが五陰盛苦。 以上の様に「四苦八苦」は、もともと仏教用語です。
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<説4>
1年12ヶ月に、二十四節気と、七十二候(シチジュウニコウ 24節気をさらに3つに分けた物)を足して 12+24+72=108。 つまり、108は1年を表した物で、煩悩の数ではないとする説。
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<説5>
九十八随眠(ズイメン)に、十纏(ジッテン)を加えて108。 九十八随眠は修行によって断ち切る6つの「根本煩悩」を、修行の段階に応じて細分化した物です。 根本煩悩は、「貪 トン」(むさぼり)、「瞋 ジン」(いかり)、「癡 チ」(おろか)、「慢 マン」(おごり)、「疑 ギ」(うたがい)、「見 ケン」(あやまり)。 十纏は、根本煩悩に伴う「枝末煩悩」の中で重いとされる10種です。 「無漸 ムザン」(内面的に恥じない事)、「無愧 ムキ」(人に恥じない事)、「嫉 シツ」(ねたみ)、「慳 ケン」(物惜しみ)、「悪作 アクサ」(後悔)、「睡眠 スイメン」(眠りに陥る)、「掉挙 ジョウコ」(躁状態)、「昏沈 コンジン」(鬱状態)、「忿 フン」(憤り) 、「覆 フク」(罪を覆い隠す事) 。
※昏沈の昏は、正しくはりっしんべんが付きます。
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