🐡出世魚
出世魚とは幼魚から成魚へ、成長するにつれて名前が変わる魚の事。
現代日本人は、出世しても肩書が変わるだけですが、江戸時代までのお侍や学者さんは本当に名前が変わりました。
元々は、大きさによって味や調理法、旬の時期などが微妙に違ってくる魚について、漁師などの魚を扱う職業の人が使い分ける為に自然発生的に出て来たコトバ。
それを"偉い人"の出世になぞり、お目出度い魚としたのでした。
出世魚は、お正月にその年の出世を願ったり、春に新しい門出を祝う席とかでよく膳に上がる縁起の良い魚です。
出世魚になる魚の種類、呼び方の変化は地域によって様々。
今回はその中から代表的な物を紹介します。
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🐟ブリ[鰤]
出世魚と言えばブリ、ブリと言えば出世魚でしょう。
お刺身、照り焼き、大根と一緒に煮るのもいいですね。
ブリ(90cm以上)は夏に味が落ちますが、イナダ(40cm位
関西ではハマチ)は逆に夏に旨いそうです。
🎭ブリ(関東バージョン)
🎭ブリ(関西バージョン)
🎤ブリ(関東)(音声付)
🎤ブリ(関西)(音声付)
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🐟ボラ[鯔]
2003年に東京の立会川で大量発生したニュースは記憶に新しい所。
河口近くの海に棲む魚で、川にも上って来ます。
「ボラの横っ飛び」と言って、定期的に水面から飛び跳ねる性質が有ります。
理由は良く分かっていません。
大きくなると材木の様な体付きになって可愛くありません。
あまり食べない魚ですが、卵巣から作るカラスミは絶品!
関東では、
オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トド
と変化しますが、ウブな娘の事を「おぼこ娘」と言ったり、男子が粋で若々しい様を「いなせな〜」と言ったり、結局の意味で「とどのつまり」と言ったりするのもここから来ています。
🎭ボラ
🎤ボラ(音声付)
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🐟スズキ[鱸]
日本各地の大河が流れ込む湾の沿岸に生息します。
和洋中様々な料理に使われる高級魚。
名前の由来は鈴木ではなく、白身がキレイで「濯(すす)ぎ」から来たという説が有力。
日本の島根県松江と、中国江蘇省上海近郊の松江(ソンチャン)は、どちらもスズキの産地です。
コッパ(デキ)→セイゴ→フッコ→スズキ→オオタロウ
と名前を変えます。
🎭スズキ
🎤スズキ(音声付)
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🐟コハダ[小鰭/小肌]
江戸前鮨の"光り物"に欠かせないのがコハダです。
シンコ(ジャコ)→コハダ→(ナカズミ)→コノシロ
と変化します。
シンコ(新子)はコハダよりも高級で、普通のお店では滅多に見られません。
逆に成長したコノシロはあまり食べません。
傷みやすく焼くと屍の臭いがすると言われたからです。
昔、鬼が来て娘を奪おうとした時に、娘は病死したと偽ってコノシロを焼いた所、鬼は納得して帰っていったという話が有ります。
そこから「子の代(しろ)」と付いたとか。。。
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🐟クロダイ[黒鯛]
その名の通り黒っぽい色をしたタイの近縁種。
岸近くの岩場に棲み、味が良いので釣り人に人気。
生まれた時はみんなオスで、成長すると一部の個体がメスに性転換します。
だから、幼魚の時の名前が「●ン●ン」なんですね(笑)。
🎭クロダイ(関東)
🎤クロダイ(関東)(音声付)
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🐟イギリスでは鮭が出世魚です。
孵化直後の稚魚をfly又はalevin。
数cmに成長して体に黒い斑点が表れたらparr。
更に成長して川を下る頃には斑点も消え、salmonとなります。
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