🎨お守り待受
■八つ橋
京土産のお菓子の事じゃありません。 今の愛知県知立(ちりゅう)市近郊の地名です。 この辺りは川が蜘蛛の足の様に入り組んだ三角州で、菖蒲園とかで目にする板を互い違いに渡した橋が八つ架かっていたので「八橋(やつはし)」と呼ばれました。
か
らごろも
き
つつなれにし
つ
ましあれば
は
るばるきぬる
た
びをしぞおもふ
平安時代の歌物語「伊勢物語」第九段「東下り」の有名な歌です。 訳有って都に妻を置いて東方の旅に出た主人公が、この三河八橋までやって来ました。 橋に腰掛け、お弁当を広げる事にました。 眼下に咲くカキツバタの花が綺麗だったので、歌を詠みました。 着馴れた唐衣の様に親しい妻が都に居るのに、はるばるこんな所まで来てしまったこの旅はなんて悲しいんだろう。。。 これを聞いた仲間達も、同じく家族を置いて来た身なので、皆で涙をぽたぽた流し、お弁当のご飯がふやけてしまいました。
登場人物には気の毒ですが、このシーンのいくつかのキーワード「八」「橋」「かきつばた」は、どれも縁起の良い物です。 今は辛くても、きっと明るい未来が待っていますよ。 八つ橋にカキツバタの図には、そんな意味が有るんじゃないでしょうか。
◇◇
■豆知識
ちなみに京都土産の「八ッ橋」は、江戸時代の琴奏者で作曲家の「八橋検校(やつはしけんぎょう 1614-1685)」に由来します。 いつも物を大切にしていた八橋は、米びつを洗う時に出る飯粒をもったいないと思い、それでお菓子を作る事を思い付いたといいます。 彼の死後、祇園の茶店が彼を偲んで琴柱(ことじ)の形をしたお菓子を「八ッ橋」の名で売り出したのが始まりです。
花札の続きを考えてみる
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