🎨お守り待受
■一位一刀彫
イチイ(一位)は木の名前です。 岐阜県の県木。 彫刻に大変適した木材で、特に高山市の南にある位山(くらいやま)のイチイは銘木として知られています。 今から800年程前の平治元年、天皇即位に際して、位山のイチイの木で作った笏(*注1)を朝廷に献上したところ、とてもお気に召され、この木に官位の「一位」を与えたと言います。
そのイチイの木を使った、飛騨高山の伝統工芸が、一位一刀彫(いちいいっとうぼり)。 江戸後期、江戸で活躍していた高山出身の根付(*注2)彫刻師平田亮朝(すけとも)に師事した松田亮長(すけなが)が始めたと伝えられています。 飛騨の匠の技は昔から定評が有り、一説によると、日光東照宮の「眠り猫」を彫ったとされる「左甚五郎」は、個人の名前ではなく「飛騨の甚五郎」という技術者集団だったのではないかと言われるくらいです。
一刀彫の題材には、十二支や
七福神
、
鶴亀
、最近では
フクロウ
など、縁起の良い物が選ばれます。 一位の木を一位の技で彫った一番の縁起物。 あなたもいかがです?
◇◇
■豆知識
・イチイの別名は「アララギ」 国語で習った明治の短歌の会派「アララギ派」のアララギとはこの事です。
・学名は「Taxus cuspidata」。 ギリシャ語の弓「taxos」が語源。 堅くてしなりが強く、弓の材料に適していたからです。 あのロビン・フッドの弓もイチイで出来ていたそうです。
・暗い所でも目立つ赤い蛍光色の実は、毒々しいですが食べると甘いそうです。 毒が有るのは種の方です。 葉や枝にも毒が有ります。 英語の毒素「toxin」の語源はこの木だと言います。
*注1:笏(しゃく)
奈良・平安・鎌倉時代あたりの束帯(そくたい)を着た貴人の肖像画でよく目にする、右手に持つ細長い板の事です。 元々はメモ用の紙(笏紙 しゃくし)を貼る為だった物が次第に儀式用になっていきました。
*注2:ねつけ(ねづけ)
今で言うストラップやキーホルダーみたいな物。
⬆イチイの実
📷弊社オフィス中庭にて
完成直後
十年以上
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