✏お守りコラム
−第32回−
【4/6】
■夕刻のカラス
烏(カラス)。
鳥類の中で一番進化した賢い鳥であるにもかかわらず、くちばしから脚の先端まで全身真っ黒なその姿と、鷲や鷹などと違って死肉をあさるという習性から、今も昔も嫌われ者です。
けれども夕刻のカラス(の鳴き声)だけは縁起が良いと言われています。
♪夕焼小焼で
日が暮れて
♪山のお寺の
鐘がなる
♪お手々つないで
皆かえろ
♪烏と一緒に
帰りましょう
この歌(*注)を持ち出すまでもなく、夕方のあの「カァーカァー」は心がなごみますよね。
郷愁を誘います。
これを朝からやられると、とたんにイライラするするんですが…。
同じ声なのに不思議です。
カラスが夕方鳴きながら山のねぐらに帰って行くという事は、里に棲み着いていないという事です。
エサが四六時中有ると、カラスはそこに棲み着いてしまいます。
昔は各家庭のゴミの量もかなり少なかったはずですから、彼らのエサが豊富に有る場所は限られてきます。
それは、お供え物が放ったらかしになっている管理の行き届いていない墓地です。
そこには野犬も集まって来て、カラスとの激しい争奪戦が繰り広げられます。
その町のカラスの鳴き様は、そこの住人達の心を映していると言っても良いでしょう。
*注:
中村雨紅 作詞、草川信 作曲、1923年発表。
ちなみにこの詞は、今の東京都八王子市郊外、陣馬街道付近の情景をうたった物です。
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