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みにくいすいかの子
【2/10】
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畑の中では1個のお母さんスイカが、子供達が実るのを待っていました。
どのくらいお母さんスイカは待ったでしょう。
とうとう1個また1個と次々にスイカが実りはじめました。
子供達は葉っぱのかげからあたりをキョロキョロ見渡して口々に言いました。
「わー、ひろいなー」
「世の中って、ひろいなー!」
お母さんスイカは言いました。
「おまえたち、世の中はこんなものじゃないんだよ。
世の中というものはね、このキャベツ畑を越えて、小川を渡ったそのむこうにも広がっているくらい大きいのよ。」
「さあ、これで全員だね。」
こう言ってお母さんスイカが立ち上がると、まだ実っていない1本の小さな苗が残っていました。
「まあ、この苗はすいぶん時間がかかるわねぇ。」
お母さんスイカは仕方なくまたすわりこみました。