●●
みにくいすいかの子
【3/10】
●●
そこへおばあさんスイカが見舞いにやってきました。
「どんなあんばいだえ?」
「ええ、どれもこれもかわいい子供達ばかりです。」
「ただ1つだけまだ実を結ばない苗がありましてね。」
「どれどれ、その実を結ばない苗とやらをわたしに見せてごらん。」
そう言っておばあさんスイカは、その小さなみすぼらしい苗を覗き込みました。
「ああこれはカボチャの苗だよ。」
おばあさんスイカは言いました。
「私も以前だまされたことがあってねぇ、そりゃぁひどいもんだったよ。
しま模様も無いし、形は不細工でデコボコだし、おまけに中身はまっ黄色。
種なんか私達の何倍もあってまっ白なんだよ。」
「こんなカボチャの苗なんかほっといて、ほかの子供達を野に連れてってあげたらどうだい。」
「ええおばあさま、でももう少し待ってみますわ。」
「ああ、勝手にするがいいさ。」
こう言っておばあさんスイカは行ってしまいました。
やっと一番小さな苗が実を結びました。
けれどもその実はほんとうに小さくうす汚れた黄緑色で、しま模様もありません。
「あらほんとうにこの子はカボチャの子なのかしら。」
「でもカボチャならまん丸くならないし、ハロウィンの日に街へ連れていけば喜んでちょうちんになるにちがいないわ。
まあ、そのうちわかるわ。
もう少し待ちましょう。」