✏お守りコラム
−第11回−
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そうそう、肝心な事忘れてました。 初夢って、いつ見る夢でしょう? 「初○○」というのは、年が明けてから初めての「○○」です。 ならば大晦日〜元旦にかけての夜に見る夢に思われがちですが、これは違います。 元旦〜1月2日の夜に見る夢です。 なぜなら、大晦日の夜は寝てはいけないからです。
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理由を言う前に、前提として述べておきたいのが、どうやら古代日本の一日の始まりは、今の様に午前0時ではなく、それより前、午後6時前後だったのではないかという、多くの民俗学者が唱えている説です。 確かに日本の祭の大半は、夜に始まり夜に終わります。 大晦日の晩に食べるそばを「年越しそば」と言うのもこれなら理解できます。 ですから大晦日、日が沈んで年越しそばを食べたら、既に正月になっているのです。 昔の人が正月に入ってまずやるべきとした事は、もちろん寝る事ではありません。 初詣です。 今でも初詣は一般に行われていますし、1年の無事と繁栄を祈るという参詣の趣旨も変わりありません。 ただ、室町以前の日本では、初詣にもう1つの目的が有ったのです。 それは神仏に良い夢を授けてもらう事です。 昔の人は今よりもずっと、夢というものを神聖視していました。 神様や仏様は、夢を通じで人間とコンタクトを取ると信じられていたからです。 おとぎ話に、神様やご先祖様が夢枕に立って、「お告げ」の通り行動したら長者になったという類が多いのもそのせいです。 良い初夢を見る為に、枕の下に宝船に乗った七福神の絵を入れて寝るという習慣も、この名残と言えましょう。
宝船
そんな訳で、大晦日の晩に早寝をしてしまうのは良くないとされ『白髪が増える』とか『親のシワが寄る』とか言って戒めたのです。 そうなると正月一日がかなりキツイのは昔の人だって一緒。 早々寝床に入って二日の朝は自然と早起きになります。 『正月二日に早起きすると、一年中早起きできる』という回りくどい言い伝えも存在します。

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