✏お守りコラム
−第22回−
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今回は、こういった神々(こうごう)しいレベルよりも、もう少し民間信仰的な物に的を絞りたいと思います。 もちろん、これからお話しする「人達」を神様のように深く信仰している人も居ますし、前頁で挙げた神々を、気軽に何でもお願いできるとても身近な存在としている人も居ます。 あくまでも、筆者の主観である事をご承知おきください。
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■達磨(ダルマ)
菩提達磨(ボーディダルマ)は、6世紀初頭に実在した高僧です。 南インドの一国の王子として生まれ、名のある僧に弟子入りし、仏の道を目指しました。 40を過ぎた頃中国に渡り、今の河南省洛陽郊外の崇山(すさん)に少林寺を開祖。 そこで9年間、壁に向かって座禅を組み、悟りを開いたと言います。 ダルマ人形は、その時の姿をデフォルメした物です。 長い修行の末に手足の自由が全く利かなくなって、あの様な姿になったと思っている人も居るようですが、恐らくそれは勘違いです。 なぜなら達磨は武道の達人で、小林拳(*注1)を編み出した人物とも伝えられているからです。
達磨図
ダルマ
日本では、鎌倉時代に禅宗が伝わるとともに、達磨大師(*注2)が信仰されるようになりました。 しかし、今の様なダルマ人形が登場するのは、ずっと後です。 その起源ははっきりとしていませんが、室町期に「起き上がり小法師(こぼし)」人形の原形が、中国から移入して来て、達磨の修行のイメージと重なったのではないかと言われます。 その後、江戸中期の浅間山の大噴火とそれに続く天明の大飢饉の時に、達磨寺(群馬県高崎市)の僧侶が、被害が著しかった地元の農民達に、供養と副業を兼ねてダルマ人形作りを勧めたのが、全国に広まったきっかけと考えられています。 その頃のダルマは、最初から両目が入っていたそうで、願いを掛けて片目を入れ、叶ったらもう片方に目を入れる習慣が根付くのは、さらに後になります。 正式な目の入れ方は、最初に左目(向かって右)、後に右目です。

*注1:
よく耳にする「少林寺拳法」は、戦後日本で生まれた武術で、中国少林寺を中心とする「小林拳」とは別物です。

*注2:大師(だいし)
帝から高僧に与えられる称号。

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