✏お守りコラム
−第25回−
【3/5】

もう1つ、「人の形をした植物」で頭に浮かぶお話が有ります。 西遊記(*注1)です。 その中に「人参果(ニンジンカ)」という植物が出て来ます。 天竺への道中、三蔵法師一行は「五荘観」という寺に立ち寄ります。 そこには世界でたった1本の人参果の木が生えていました。 人参果は三千年に一度花を咲かせ、一万年に三十個だけ実が熟します。 その実は赤ん坊そっくりで、香りを嗅げば三百六十年、実を食べれば四万七千年長生きできるという気が遠くなりそうな果物です。 例によって、孫悟空達が人参果をどうにかしちゃって一騒動になるのですが、ここでは割愛させていただきます。
◇◇
この人参果って、何をモデルにしたんでしょう。 芭蕉(バショウ、バナナの原種)の様な葉というくだりが有りますので、バナナでしょうか。 現在、中国で人参果と言えば、ある植物を指します。 皆さんも口にした事の有る物ですよ。 答えは落花生(*注2)。 確かに栄養は満点ですが、形は人に似ていません。 あの殻の中に、人が入っているとでも考えたのでしょうか? 想像するとちょっと不気味です。
落花生
落花生
「中に人」で思い出したのが…。 そうそう、「はじめ人間ギャートルズ」(*注3)。 石器時代が舞台のアニメ。 その中の一話で、主人公の原始人「ゴン」の家(ほら穴)に貧乏神がやってくるお話。 貧乏神が住み着いてから、ゴンとゴンの「とーちゃん」がいくら狩りを頑張っても何も獲れなくなってしまいます。 くたくたになって帰って来たゴンが一言「もー、足にマメができちゃったよ」 それを聞いた貧乏神が一瞬狼狽します。 「…なんだぁ、足のマメね」 しかしとーちゃんはそれを見逃しませんでした。 翌朝、一番に目を覚ました貧乏神が、洞穴の外に出てみると…。 そこには巨大な豆のサヤが横たわっていました。 「えらいこっちゃ。 ま、豆やー。 でっかい豆や〜。 でかすぎるぅ〜〜〜。」 貧乏神は一目散に逃げてしまいました。 豆が大嫌いだったんですね。 実はこの豆、「かーちゃん」がこっそりこしらえた袋の中に、ゴンが入っていた偽物だったんです。 とにかく、貧乏神が居なくなってめでたしめでたし。

*注1:
呉承恩 作とする説が有力。 (16世紀中頃)

*注2:
中国では落花生のほか、色々なローカル果物に人参果の名前が付いているそうです。

*注3:
東京ムービー 制作 (1974-6年)

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