✏お守りコラム
−第26回−
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■豪徳寺(ごうとくじ)
招き猫発祥の地とされるお寺です。 江戸初期の万治年間(1658-1661)、貧しい寺の和尚が、一匹の猫を可愛がっていました。 和尚は「おまえも恩を感じているなら、何か良い事を招いておくれ」(*注1)と言って、自分の食事を割いてでもエサを与えていました。 ある夏の日、門前を通りかかった彦根藩のお殿様井伊直孝は、猫がしきりに手招きするので、お寺に立ち寄る事にしました。 それが縁でこの寺は、井伊家の菩提寺(*注2)となり、大いに栄えました。 和尚は猫が死んだ後も、猫塚を建て、猫の人形を作って感謝したそうです。 この人形が招き猫の始まりと言われます。 ただ、今日私達が目にする、あの招くポーズをしていたかどうかは分かっていません。
◇◇
豪徳寺は東京世田谷の閑静な住宅街に在ります。 最近、三重塔が建立されて、よく見ると塔の中に猫の彫刻が施されています。 その近くに、猫を祀った小さなお堂が建っていて、横には要らなくなった招き猫をお返しする棚が在ります。 「要らなくなった」という事は、招き猫のお陰でお客さんがいっぱい来て、お店が繁昌したという事ですから、お目出度いのですが、ここの猫達は薄暗いお堂の脇というロケーションのせいもあって、どこか寂しそうです。 『まだまだ、招き足りないニャ〜』と、言っているようでした。
豪徳寺の招き猫
↗豪徳寺の招き猫
🗾東京都世田谷区
📷カメラ付ケータイで撮影

*注1:
文献では『汝我が愛育の恩を知らば何か果報を招来せよ』

*注2:ボダイジ
祖先のお墓などを祀る寺。 檀那寺(ダンナデラ)とも。
豪徳寺には、桜田門外の変で倒れた井伊直弼のお墓も在り、都指定の史跡になっています。

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