✏お守りコラム
−第26回−
【3/5】
■今戸(いまど)神社
関東随一の縁結びの神社と言われています。
浅草の浅草寺から10分程行った所に在って、雷門や仲見世の喧噪がウソの様に静かです。
普通、神社と言うと、都会でもうっそうとした木々に覆われている印象が有りますが、今戸神社の境内は開放的。
鳥居に参道と駐車場、そして本殿と至ってシンプルです。
本殿には、大きな二匹の招き猫が寄り添うように鎮座しています。
一匹は白に黒のブチ、もう一匹は純白です。
これと同じデザインのミニチュアが横で売られていて、恋のお守りとして人気が有ります。
ここの絵馬は丸い形をしていて、いかにも縁結び祈願といった感じです。
手水舎(*注)の近くに奉納場所が在りましたが、何か他人の色恋事を覗く様な気がしたので、そばに行って見るのはヤメました。
参拝客は、カップルや若い女の人同士が殆どで、筆者は少し浮いていました。
↗今戸神社の招き猫
🗾東京都台東区
📷カメラ付ケータイで撮影
◇◇
ここの夫婦招き猫は、今戸焼と呼ばれる焼き物で、天正年間(1573-1591)頃に起こったとされます。
裏に大きな穴が開いていて、昔はキセル等の火種を入れておく器(火入れ)として、江戸庶民に重宝がられていました。
時代が進むにつれ、実用品としての需要は薄まり、縁起物として買われるだけになっていきました。
平成16年には、とうとう最後の一軒だった窯元が廃業してしまいました。
今戸焼の招き猫が作られるようになったのは、江戸末期と言います。
浅草に住む老婆が、貧しさから他家にやっかいになる事になり、可愛がっていた猫をやむなく手放します。
その夜、猫が夢枕に立って、こう告げたのです。
『自分の姿を人形にすれば、必ずや福を授かる』
そこで老婆は近所の今戸で人形を作ってもらった所、程なく元の家に戻る事ができました。
その後、夢で老婆の持っている猫の人形を借りなさいというお告げを受けたと話す男が訪ねて来て、こんな物で良ければと貸し出した所、たちまち商売が繁盛し、その噂を聞きつけた人達が次々と老婆の元に駆け付け、猫の像を借りては、金銀を添えて返しました。
そうして老婆は裕福になりましたが、猫は二度と老婆の元へは帰って来ませんでした。
この猫の像は今の招き猫と同様、手招きしている姿だったそうで、記録として残っている物としては最古だと言われます。
背面には○の中に×を描いて尻尾を表現した模様が有り、「丸〆の猫」と呼ばれます。
丸〆とは、お金が締まる、即ちお金の出入りがしっかりするの意で、金運上昇、商売繁昌につながります。
丸〆の猫は、今でも仲見世で売られています。
*注:
ちょうずや、てみずや。
神社に参拝する者が、手や口を浄める為の水場。
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