✏お守りコラム
−第27回−
【3/4】

ネコの毛の色は、染色体上の9ヶ所×2(ペア)に、どんな情報(遺伝子)が乗っているかによって決定します。 それでは1つずつ説明していきましょう。
◇◇
[エリア1]White
「白か否か」を決める領域です。 ここに、優性(*注1)遺伝子Wが1つでも有れば、他の8(×2)ヶ所にどんな色情報が有ろうと、全身が白色になります。 ですから、白猫以外のネコは必ずこの領域はww(劣性のペア)です。 また、白猫の親はどちらかが必ず白猫のはずです。
◇◇
[エリア2]Spot
では、白と他の色のブチ猫は、どうなっているのでしょうか。 [1]とは別に「白斑か否か」の領域が存在します。 ここがSSならば全身に白斑が表れ、Ssならばお腹や足だけが白くなります。 [1]がwwで、[2]がssの時に、白が入っていないネコになります。
◇◇
[エリア3]Agouti
Agouti(アグーチ)とは、中南米に棲む大型のネズミです。 1本の毛の根元と先端が黒く、中間が褐色になる遺伝子を、この動物の名を取ってアグチ遺伝子と呼びます。 単色の毛より、周囲の景色に溶け込むので、多くの野生動物でこの領域に優性のAが入ります。 aaの時は中間の褐色が消え、1本丸々黒になる可能性が出て来ます。
◇◇
[エリア4]Black
[3]がaaの時だけ、ここの領域の情報が生きてきます。 ここがBB又はBbの時が黒猫です。 bbだとセピア色のネコになりますが、日本ではめったに居ません。
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[エリア5]Orange
茶色(オレンジ色)の色情報だけはX染色体(*注2)上に有ります。 茶色のオス猫は、O + {色情報を持たないY型染色体}、 メス猫はOOです。 上の2つのケースでは、[2]のアグチ遺伝子の影響を受けない事が知られています。 Ooの時は茶色と他の色との斑になります。
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これでだいたい分かったと思いますが、
[1]=ww
[2]=SS又はSs
[3]=AA又はAa又はaa
[4]=[3]がaaの時はBB又はBb、[3]がaa以外の時は何でも可
[5]=Oo
が三毛猫です。 [5]=OoはX染色体のペアですから、三毛猫はメスなのです。


*注1:
対立する遺伝子が結合した時、表に現れる方を優性、その代では隠れてしまう方を劣性と呼びます。 どちらの性質が表に現れやすいかどうかという意味であって、その性質自身が優秀だとか劣っているとかではありません。 例えば人間の場合、毛深い遺伝子と薄い体毛の遺伝子では前者が優性です。

*注2:
オスメスを決定する情報が乗っている染色体を性染色体と言います。 (ちなみにそれ以外の染色体は常染色体と言います。) 哺乳類は、XY型と呼ばれる仕組みで、XXを持つ物がメス、XYを持つ物がオスです。 メスの卵子はXとXに、オスの精子はXとYに分かれます。 Xの卵子にXの精子が受精すればメス、Yの精子が受精すればオスの子どもが生まれます。

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