●●
みにくいすいかの子
【4/10】
●●
次の日からお母さんスイカのしつけがはじまりました。
「ちゃんとまっすぐに転がるんですよ。
そう、ゴロゴロとね。」
「フラついたらいけませんよ。
カボチャじゃないんだから。」
そう言いながらお母さんスイカは、一番最後に生まれた小さな子の方に目をやりました。
「あら、ちゃんと転がってるじゃない。
おばあさんはカボチャの子だなんて言ってたけどやっぱり私の子だわ。」
お母さんスイカは安心しました。
「さあ、今度はお腹を鳴らす練習よ。
そう、ポンポンとね。」
「いい音を出さなければいけませんよ。
人間は音で私達を判断するんですからね。」
こうしてお母さんスイカのしつけは一週間続き、成長した子供達をとなりの農場の長老夫婦に見せに行く日がきました。
「長老スイカはね、ここらでは一番えらいのよ。」
「気むずかしいスイカだからお行儀よくしなければだめよ。」
「ちゃんと胸をはって転がるんですよ。」