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みにくいすいかの子
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お母さんスイカと子供達は長老夫婦の所へやってきました。 「こんにちは。 これが私のかわいい子供達です。」 お母さんスイカは、おばあさんスイカに子供達を紹介しました。 おばあさんスイカは小さく少し灰色がかった顔に小さな鼻めがねをかけています。 うわさではあんまり口うるさいので、中身はまっ黄色で種だらけだそうです。 おじいさんスイカは家の前のロッキングチェアーで、一日中いねむりをしています。 「おやおや、みんなまんまるでおぎょーぎがいいねえ。 ・・・おや?」 と言っておばあさんスイカは一番後ろにいた小さな黄緑色のスイカの子に目をやりました。 「この子はまァずいぶんとみにくい子だね。 これはカボチャの子だね。」 と言いながらずんずんと歩み寄り、その子をつつこうとしました。 お母さんスイカはあわてて中に入り、 「いいえ、この子も立派な私の子ですわ。 少しみにくいかもしれませんが、転がるのだってみんなと同じようにちゃんとまっすぐゴロゴロと転がれますし、お腹をたたくとポンポンってとてもいい音がしますのよ。 大きくなればきっと人間に気に入ってもらえるスイカになりますわ。 それにこの子はとても気だてのいい子なんですよ。」 と言いました。 「そうかえ。 私にはそんな風には見えないけどね。」
挿絵5
[挿絵5]
その日はなんとか無事にすごすことができましたが、このかわいそうなみにくいスイカの子は、くる日もくる日も近所のスイカや兄弟達からみにくいというだけでいじめられるのでした。 とうとうあのやさしかったお母さんスイカにまで 「あの子には本当に困っているわ。」 と言われるようになってしまいました。 「ぼくがみにくいというだけで、どうしてみんなぼくをいじめるんだ。 ぼくが何をしたっていうんだ。」 みにくいスイカの子は悲しくなりました。 そしてある夏の日の夜、みにくいスイカの子は、お母さんスイカの畑をあとにしました。

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