✏お守りコラム
−第22回−
【5/7】
■お多福
意外と知られていませんが、お多福も実在の人物です。
鎌倉時代、京都の大報恩寺千本釈迦堂の本堂建立を任された棟梁長井飛騨守高次が、棟上げの時に柱の一本を短く切ってしまうという大失敗をします。
しかし、彼の女房が「その一本に合わせて他の柱も短くすれば?」とアドバイスしたおかげで、無事に本堂を完成させる事に成功しました。
ところが彼女は、夫の名誉を守る為に自害してしまうのです。
高次はお堂の棟に、彼女の顔に良く似た阿亀(オカメ)のお面を取り付けて、亡き妻を偲んだと言います。
これが、第7回で紹介した「屋根裏のお守り」の始まりです。
関東では御幣だけですが、関西ではお多福と扇子の付いている物が一般的です。
お多福はその名の通り、多方面の福を授けてくれる縁起物として様々なお飾りに用いられますが、このお話から分かるように、特に建築物を守ってくれるとされています。
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